まずは「管理」から (99年9月)

(社) 中小企業診断協会富山県支部

繁田社長が新社会人として4月から入社した繁太君を、来訪中の今野氏に紹介した。

今野 入社してそろそろ半年。大分仕事に慣れたでしょう。
 
繁太 ハイ、これも社長のおかげです。
 
今野 ほう、みかけによらず如才無い返事だね。
 
繁田 先生はいつも口が悪いから。
 
今野 ちゃんとフォローされるところをみると、順調に育っているようですね。
 
繁田 さりげなくサグリを入れられるから油断できないよ、繁太君。ところで、この機会にわが新人君に何かアドバイスを…。
 
今野 じゃあ、基本中の基本を聞いてみましょうか。「管理」とは何でしょう。
 
繁太 うーん、よく使う言葉ですがいざとなると言いにくいですね。管理職なんていうと、人に命令したりコントロールする人をイメージしますし、自己管理というと自分自身を制御するという感じで言葉の意味をとらえています。
 
今野
 
 
 
 
うん、まあそんなところだが、もう少し厳密に考えてみよう。もし君がある作業を任されると、どんなことを頭の中に描くかな。自己管理もそうだけど、まず、大ざっぱに予定を立てないかな?
 
繁太
 
はぁ、そう言われれば確かに計画を立ててみます。
 
今野
 
 
 
 
そう。その計画が第一。与えられた仕事をきちんとこなすということは、つまり管理をしっかりするということで、管理の第一歩はその「計画」というわけです。次に計画通りそれを「実行」しますね。そしたら、どうします?
 
繁太
 
計画通りにうまくいったかどうか確認します。
 
今野
 
 
でしょう。任されたからには責任があるから一生懸命確認作業をするでしょう。それが「チェック」ですよね。
 
繁田
 
私にも出番を与えてくださいよ。この辺は得意なんですから。
 
今野
 
では社長さんの権威のためにも。
 
繁田
 
 
 
 
 
そこでだ。問題はチェックの結果に満足して終わって欲しくないということなんだよ。つまり、それでよかったか、もっといいやりかたがあるのではないかと考え、工夫をこらしてみることだ。しかもグズグズしてないでさっさとやる。グズグズするのは花粉症だけでいい。
 
繁太
 
 
ハハァン、読めましたよ。ハクションじゃなく、「アクション」ですね。
 
繁田
 
 
 
 
 
さすがは我が社を担っていこうというホープ。もうひとつ付け加えるが、行動に移しただけではやっぱり不十分。さらに計画を練って、再び実行を繰り返すという、不断の努力が必要なんだ。これが管理のサイクルというもので、我が社がこれから認証取得をめざすISO9000規格の基本にもなるのだよ。
 
今野
 
 
 
都合よく基礎教育につながりましたね。管理を単に監督したり、しかったりすることと考え違いをしている人がいたりしますから、よく身につけておいてください。
 
繁田
 
 
「計画」plan,「実行」do,「確認」check,「再実行」action,の頭文字でPDCAと言っているんだ。
 
今野
 
さすがによく勉強しておられますね。
 
繁田
 
いえ、実は女房にむりやり勉強させられているだけで…。
 
繁太
 
ははぁ、社長さんは奥さんに管理されているんですね。
 



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