均等法が変わります (99年2月)

(社) 中小企業診断協会富山県支部

従業員募集の看板を会社の前に掲げ御満悦の繁田社長。
そこへまたも、ちょうどいいタイミングでコンサルタントの今野氏が現れた。

今野 こんにちは、繁田社長。今見たら、会社の前に従業員募集の看板が出ていましたね。
 
繁田 そうなんです。会社の経営状況は、決して良くないのですが、そうかといって、将来のことを考えると少しは従業員も入れておかなければと思いまして。
 
今野 うーん。
 
繁田 どうしました?お腹が痛いのなら薬を持ってきますが。
 
今野 いや、そうじゃなくて、従業員募集の看板の内容がちょっと。
 
繁田 何かまずい点でもありますか。
 
今野 今年の4月から、男女雇用機会均等法が改正実施されるのをご存知ですか。
それによると、従業員を募集する際に、原則として男女による差別をすることが一切出来なくなります。
 
繁田 具体的には、どういうことになるのでしょうか。
 
今野
 
 
 
例えば、男女別で採用予定人数を明示したり、年齢制限を男女で違わせたり、「男性歓迎」とか「女性は未婚者優先」といった募集も禁止されます。
 
繁田
 
それで前の看板がまずいとおっしゃったのですね。
 
今野
 
 
 
 
 
 
 
ええ。募集採用以外に、配置、昇進、教育訓練についても男女差別が禁止されます。
男女で昇進の基準を変えたり、秘書、受付の配置や接客訓練の対象を女性のみにしたりするといったことなどが禁止されます。
また、セクシャルハラスメントに対する事業主の配慮義務も新たに盛り込まれました。
 
繁田
 
 
男性中心の社会に馴染んできた者にとっては、ちょっと戸惑いがありますね。
 
今野
 
 
 

 
しかし、最近の女性の社会進出はめざましいものがありますし、少子化が進む中で、男性の若年労働者数は確実に減少しています。
ですから、逆に女性の活用を積極的に考えるべきだと思いますよ。
 
繁田
 
 
確かに働く女性は増えましたね。うちでもパートタイマーで働いてもらっている人が何人もいます。
 
今野
 
 
 
 
 
 
パートタイマーや派遣労働者など、雇用形態は今後益々多様化して行くのではないでしょうか。
低成長が続く今日、限られたコストでいかに収益性を高めるか。色々な雇用形態をうまく組み合わせたり、男女や年齢に関係なく優秀な人材はしっかり処遇して、その上で人件費をコントロールしていかなくてはなりません。
 
繁田
 
 
 
男女や年齢に関係なく実力重視ということですね。
人事の規制緩和ということでしょうか。サラリーマンも気楽な稼業ではなくなりましたね。
 
今野
 
 
 
おっと、それを評価しなければならない経営者はもっと大変ですよ。人材を活かすも殺すも評価次第、ひいては会社の業績にも大きい影響を及ぼしますから。
 
繁田
 
う、うーん。
 
今野
 
 
どうしました?お腹が痛いのなら薬を持ってきてもらいましょうか。
 
繁田
 
 
お願いします!
 
                             (板谷 聡)



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