■商店街づくりのポイント (98年8月) |
(社) 中小企業診断協会富山県支部 |
イキイキとした商店街づくりを目指して、コンサルタントの今野さんと勉強会グループ委員長の町田さんとの会話である。 |
●今野 |
「商店街づくり」とは、単に「商店街」を活性化するという観点ではなく、生活者からの視点も取り入れた「総合的な街づくり」を行うという観点を重視することが不可欠だと私は思うんです。 |
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●町田 |
そうですね。いままでの商店街活性化は、商業者や行政からの視点が重要視されていたような感じですね。しかし、本来はその地域に生活し、より素晴らしい人生を送りたいと願っている生活者の視点が反映されていなければなりません。どんなに立派な施設があっても、それが生活者の求めているものと異なってしまっては何の意味もありませんからね。 |
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●今野 |
私はコンサルタントとして各地を伺っていますが、「生活者参加の街づくり」をテーマに掲げる地域がかなりあります。しかし、その多くが地域住民の生活観やライフスタイルを知らずに計画を立てているのが現状ですね。これでは生活者の支持を得られるわけがありませんよ。どんな街にしたいか、商業者自身があまり議論せずにコンサルタントや行政任せにしている地域が少なからずあります。自分たちの夢は自分たちで描かなくてはなりません。コンサルタントや行政は、あくまで「お手伝い」なのですからね。
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●町田 |
それでは私たちは、どうすればよいのでしょうか。 |
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●今野 |
まず、求められている機能や生活者のニーズを把握することです。その街に不足している機能やその街に期待されている機能、生活者のニーズをしっかりと把握することが必要です。そのためには、人口、世帯数、家計消費、商店数などのほか、その地域の歴史や文化、自然や気候条件、競合都市や競合店舗の状況、顧客の意識やライフスタイル、経営者の意識などについて、調査を十分に行うことが必要です。 |
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●町田 |
なかなか難しいんですね。 |
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●今野 |
そんな簡単なわけにはいきませんよ。調査結果の分析や街づくりの方向性、内容、具体的な進め方などについて、幅広い関係者で十分に議論を行うことが重要です。この議論の過程が今後の街づくりにとって最も重要です。十分な調査と議論を経て、街づくりの考え方、つまりコンセプトを明確にしておく必要があります。そして、目標に向かって具体的な計画が作成されるのですから、この目標は商店街の組合員やその商店に働く従業員にも理解できるように、分かりやすく、自分たちの言葉で表現されていることが必要です。 |
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●町田 |
具体的には何をすればよいでしょうか。 |
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●今野 |
街の魅力を向上させ、集客力を高めるためには、中核施設が必要です。中核施設には、核店舗、コミュニテイ施設、大型駐車場、公共施設、これらの複合施設などが考えられます。このように、街にいろいろな機能を用意し、生活者の多様なニーズに応えることが、今後の商店街に必要です。それらの様々な機能を備えるためには、各省庁の施策を複合的に利用することが有効です。たとえば、都市計画事業として富山県福光町など、特定商業集積法の事業として富山県朝日町など、働く婦人の家として宮崎県西都市など、図書館として山形県上の山町などがあります。 |
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●町田 |
要するに、生活者の街づくりとして何が必要かということを今一度勉強しないといけないですね。 |
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●今野 |
どんなに街並みが素晴らしくなったり、新しい多目的ホールなどの施設が充実しても、その中身に魅力がなければ生活者からの支持は得られません。その中身をいきいきとしたものにするのが、商店街のソフトな活動です。その内容としては、イベント、売り出し、共通駐車券の発行、抽選券の景品や招待旅行などがあります。 |
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●町田 |
そのようなことは、私たちの商店街では現在実施していますよ。 |
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●今野 |
そうですか。それから商店街の抱える大きな課題の一つに空き店舗がありますね。 |
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●町田 |
私たちの商店街では、空き店舗が大きな問題となっています。 |
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●今野 |
空き店舗は、後継者難などによる廃業などいろいろな事情によって生じるわけですが、空き店舗の活用のために、各地で様々な取り組みがなされています。それらの主なものを紹介すると、次のような活動があります。「初めて商売にチャレンジする人に対するテナント導入に関する支援」「イベント会場や休憩施設などの共同施設としての活用」「長浜市の黒壁スクエアなどのような魅力を持った街区を創造しその活性化による空き店舗の防止」などがあります。 |
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●町田 |
いろいろとありがとうございました。私たちも一生懸命に頑張りますから、今後ともよろしくお願いします。 (指 中 恒 夫) |