これからのまちづくりはNPOが主役 (98年7月)

(社) 中小企業診断協会富山県支部

 
 
 

町田 最近まちづくりNPOという言葉を良く聞きますが。
 
今野 商店街に空店舗が目立ち、中心街の空洞化がどの都市でも問題になっています。この問題解決にまちづくりNPOが期待されているようです。
 
町田 国会でNPO法案も通ったと聞きましたがNPOって何ですか。
 
今野 これまで日本ではボランティア活動とよばれていた事業が米国では大きく発展し行政の肩代わりをする組織になっています。これを非営利組織(N=ノン、P=プロフィット〔非利益=非営利〕、O=オーガナイゼーション〔組織〕)とよぶのです。
NPOは従来より少ない予算でも多様な市民のニーズに対応し、これまで行政ができなかった問題解決しています。
 
町田 何故NPOは少ない予算で多様な問題解決ができるのですか?
 
今野 行政はどうしても平等な支援しかできない、個別に対応できない、地方の独自性をいかせない等融通がきかない。まちづくりでいうと住民と消費者と住宅・中心街開発者が共同して企画し、公聴会等で住民にオープンに提案しながら開発するので住民の理解が得やすい。
 
町田 なるほど、行政では画一的な対応しかできなかったのに、NPOでは柔軟な対応ができるのですね。
 
今野 米国でも1985年ころまでは中央からの指導で都市計画が進められていたが、再開発ビルや公営住宅が人気がなく売れ残りが多かった。
レーガン大統領が小さい政府をめざし少ない予算で都市計画をすすめるようにまちづくりの方法を大転換し、民間が参加するやり方に変えたのです。
当初は行政に反対していた市民組織が平等なまちづくりをめざすが、これまでより少ない予算で多くの市民ニーズにこたえるのは無理だった。
結局専門家が市民有志と組んだNPOが、少ない補助金でも入居者に好評な住宅、中心街づくりに成功し全国的に米国のまちづくりはNPO中心に変ったのです。
 
町田
 
日本でもすぐ米国のようなNPO活動ができるのですか?
 
今野
 
 
 
 
米国のNPOは行政の補助と企業からの寄付(米国では費用あつかい)を受けて、免税でまちづくりを企画実施しているので利益が追加投資できてすすめやすい。日本は大蔵省が反対しそのような税制になっていない。
 
町田
 
 
日本でも行政改革や規制緩和が言われており米国がモデルのようですが日本の規制緩和も進みませんね。
 
今野
 
 
 
 
 
 
 
 
日本でもやっとNPO法案が国会を通過したがまだまだです。
しかし、まちづくりの成功例と言われている長浜、川越等は市民有志が主導し行政と中心街を再生したケースでNPOによる成功と考えられています。
長浜等は郊外SCの影響で空店舗だらけだったのをNPO黒壁が埋め、わずか10年で年間百万人以上交流人口を集めるまでになり、最近は高齢者のNPOのプラチナプラザが空店舗を又埋めています。
 
町田
 
 
私も長浜の黒壁や川越の蔵の街並みは見てきました。空店舗を観光客業態に変え賑やかでした。
 
今野
 
 
 
 
 
 
 
これらのまちづくりのモデルは交流人口(観光飲食会議客)と地元客を両方中心街に集客することで中心街空洞化を解決しました。従来の行政によるやり方とちがい多額の投資も都市改造もないのに多くの客を集めています。川越の蔵の会や長浜の黒壁(株)等市民有志組織(NPO)が行政と連携したやり方がこれからの日本のまちづくりのモデルになると期待されています。
 
町田
 
 
NPOが主流になると全国・富山のまちづくりはどうかわるのですか。
 
今野
 
 
 
 
 
富山県はこれまで交流人口対応まちづくりがなされませんでした。しかし各地でまちづくりを目的とした地酒トラストができ日本一多いと言われています。産業人と商業者が交流人口むけに創った事業でこれもNPOの事業です。又日本初の上市町や産業人主導の・福野・庄川町のまちづくり会社もNPOです。
 
町田
 
 
考えようでは日本も富山もNPOまちづくりの先端をいっているのですね。
 
今野
 
 
 
 
 
 
 
経営学者のドラッカー博士は江戸時代はNPOが盛んだったので当時世界一住みやすい都市になった、と明言しています。モデルがもう少し出てくれば少し前の米国のように日本中が競争してNPOまちづくりに取り組むようになると考えられています。
 
                             (園 利宗)
 



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