性格タイプ 〜指向が違うと思考も違う?〜 (98年3月)

(社) 中小企業診断協会富山県支部

業績の低迷を打開するために、新製品開発に力を入れている繁田社長。しかし、連日の会議もうまくいかないようである。

今野 どうしました?奥からずいぶん大きな声が聞こえてきましたが
 
繁田 これは先生。聞こえてしまいましたか。お恥ずかしい。
新製品の開発会議をやっているんですが、これがどうも・・・
 
今野 思ったようにいかない。
 
繁田 そうなんですよ。新製品が直ぐにできるとは思わないんですが、チームのまとまりが悪くて困っているんです。
リーダーの選定が悪かったのでしょうか?優秀な人間だと思うのですが。
 
今野 そのリーダーはどういうタイプの人間ですか。
 
繁田 非常にまじめで、今までも開発部で地道ですが確実に成果を上げてきた人間です。そろそろ管理職にと思って、今回のリーダーになってもらったのです。
 
今野 他のメンバーはどうですか。
 
繁田 新製品開発にはいろいろな人間の意見があった方がいいだろうと思って各部署から選抜しています。タイプもいろいろです。
 
今野
 
 
 
 
 
 
チームのメンバーの組み合わせに問題があるようですね。
人にはいろいろな性格のタイプがあります。チームを組む場合に互いのタイプというものを考慮しないとチームのコミュニケーションがうまくいかなかったり、一部の人間が浮き上がったり、またアイデアが偏ったものしか出てこなかったりしてしまいす。
 
繁田
 
確かにそうですね。
 
今野
 
社長、タイプ論ってご存知ですか。
 
繁田
 
それってA型の人間は几帳面だとかいう、あれですか。
 
今野
 
 
 
 
 
 
 
それは占いみたいなもんで、まったく根拠はありません。
そうじゃなくて、これはスイスの有名な心理学者ユングが唱えたものなのですが、人の心の動きを心理過程として捉え、そこに「知覚」と「判断」という2つの過程を位置づけているんです。
そして、「知覚過程」と「判断過程」は、それぞれ2つの機能、感覚機能と直観機能、思考機能と感情機能から成り立っています。
  
繁田
 
なんだか難しいけど、面白そうですね。
 
今野
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
人は外からの刺激に対し、「知覚過程」で情報を取り入れて把握し、「判断過程」でそれを整理して結論を導き出すのですが、その時に使う機能は、人によって違いがあるんです。
つまり、「知覚過程」では、物事そのものを具体的に知覚しようとする感覚機能と、それよりもその背後にある可能性を知覚しようとする直観機能のどちらを使うタイプか。「判断過程」では、客観的な視点に立って意思決定を行う思考機能と、対象者に感情移入して判断を行う感情機能のどちらをより使うタイプか。これは指向といって、人間は利き手と同じようにどちらか一方を好むと考えられています。
 
繁田
 
なるほど。
 
今野
 
 
 
 
同じ指向の人間ばかりだと、話がまとまるのは早いのですが、考えが一方に偏りがちになりますし、逆に、指向がバラバラだといろいろなアイデアは出てくるのですが、まとまりにくくなります。
 
繁田
 
 
つまり、そういった事も考慮してチームを組まないとうまくいかないということですね。
 
今野
 
 
 
 
 
 
今の時代はスピードが要求されます。より早く効果的に行うには、チームのタイプを把握することも重要な要素になります。
また、こういったプロジェクトチームだけでなく、組織として各人のタイプを理解するというのは、コミュニケーションの基礎であり、キャリア開発や、組織の活性化にも重要なことだと思います。
 
繁田
 
 
確かに重要だし、応用も広そうですね。うーん、手始めに桜木町のアノコの性格タイプを調べてみようかな。
 
今野
 
 
そ、そ、それは・・・
 
            (板谷 聡 itaya@toyama-smenet.or.jp)



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