電子マネー もう1つのビッグバン (97年4月)

(社) 中小企業診断協会富山県支部

新聞紙上では「不良債権処理で○×銀行赤字決算」「□△銀行が危ない!」..経済欄は物騒な記事が多く、国会では「日本版ビックバン(金融制度改革)」が議論されているなか、繁田さん今野さんコンピュータ2000年対策セミナーの帰り道で....。

繁田 ヨーロッパでは電子マネーが実験段階から実用化段階に入ったと聞きましたが、日本でどうなっているのですか?
 
今野 デジタル時代の決算手段である電子マネーが今春実用化されます。大きく分けて3種類で (1)IC(集積回路)に貨幣価値を置いて繰り返し使えるICカード型。(2)インターネットなどでオンライン決済できるようにした支払指示型。(3)貨幣価値が企業グループ内でネットワーク上を移動し資金をネッティング(相殺)資金決済を済ませる電子取引により、銀行に支払う振込手数料や銀行借入金削減を狙うネットワーク型。などがありますが、繁田さんに関係ありそうなのは(1)(2)ですネ。
 
繁田 インターネットで仮想商店を設け、土地・建物・従業員を置かなくても一等地に店舗を構える一流企業とパソコン画面上では対等に競争できる環境は、喜ばしいのですがインターネットを使いこなす消費者は少数派ですよ!。
 
今野 現在はそうですが、ネットワークを活用する消費者は鼠算的に増えます。距離的概念が取払われ24時間営業です。私は東京秋葉原の安いパソコン周辺機器を富山に居ながらにして数分で買えるのですから癖になっちゃいますよ!。海外に仮想店舗を開設し、決済手数料や税負担低減に活用している例も多くなってきました。でも、消費者が電子財布として持ち歩くICカード型は手軽ですね。
 
繁田 そうなんです。現在のクレジットカードに比べ小額の買い物にも向くので小銭を持ち歩く必要がない。コーラの自動販売機一律110円が消費税アップの対応ゃ商品の差別化等で103円や117円があっても面白い。レジの前で後ろの人を気にしながら(店員が面倒そうな顔つきに変わる)クレジットのサインを書く作業からも開放されます。
 
今野 私は昔から使い捨てのプリペードカードがもったいないと思っていたんですよ。店側にとっても、店舗に置く現金を減らせ事故防止、本部との入送金も効率化できます。電子マネーは消費者の買物行動や流通取引の仕組を大きく変えてしまいます。
 
繁田 従業員の給与支払いを理論的には銀行振込からICカードにデータ書込みで決済可能になるなど、現金や小切手の取扱い量が減って銀行との付合い方も変わってきますね。
 
今野
 
 
 
 
 
そのとおり。それを察知してか銀行とカード会社などの間で提携・共同開発など電子マネーをめぐる競争は激しくなっています。インターネットで決済する方式は「SET」という手順で標準化されそうですが、ICカード型電子マネーは百花繚(りょう)乱状態で、まだまとまりそうにありません。
 
繁田
 
 
 
 
 
 
コンピュータ業界は1日で7日分の進歩があると聞きました。電子マネーをめぐる第2のビックバンは、ビジネスチャンスですネ。なにかいいアイデアはないですか〜..。ICカード専用財布を開発し売出そうかな!。
 
                 (中小企業診断士・西田 二郎)
 



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