勝ちの戦略 (2000年7月)

(社) 中小企業診断協会富山県支部

学生時代の友達であった中小企業家繁田氏と経営コンサルタント今野氏が、30年ぶりに東京駅でバッタリと出会った。名刺交換をしながら旧交を暖め合った後、二人の本音の会話の一こまである。

繁田 正直な話、ここ数年間、思うように売上が上がらず粗利も上がらず閉塞感に苛まれているんですよ。
 
今野 そうですね。私もあちらこちらの中小企業家から、そういう話をよく聞くんです・・・。 しかしながら、ここで大きく一息ついて、悲観的に凝り固まっている思考法をかなぐり捨てて、どうしたら勝ちの経営ができるか、発想を転換してみてはいかがでしょう。
 
繁田 いやいや、なかなか手厳しいですね。
 
今野 こんなにやさしい話はないでしょう?・・・。しからばどうすべきかというと、いわゆる企業目的達成(=長期総資本利益率の極大化)に最も適合する顧客ターゲットを絞り込んでそれを確定することです。例えば、男性だけ、20歳代だけ、10歳代の女性だけ、主婦だけ、低所得者だけ、単身者だけ、勤務者だけ、旅行者だけ、特定業だけとか、いずれのターゲットが目的に最も適うかを慎重に決定することですよ。
 
繁田 そう言われてみれば、あとが続きますね・・・。
つぎには、そのターゲット客が最も求める商品などのシビアなニーズは何処にあるか。例えば、扱い商品等群は、種類は、規格は、デザインは、スタイルは、便宜性は、安全は、保証は、包装は、アフターサービスは、価格帯は、支払条件はなどについて、いかなるレベルを求めているかを正しく確認して、実現しなければなりません・・・ときますね。
 
今野 ・・・乗ってきましたね・・・。引き続いて言いますと、求められるつぎのような差別性を発揮しなければなりませんね。すなわち、例えば、立地は最適であり、適合する敷地・建物・店舗・内装・装飾であり、きめ細やかな接客であり、高度な技術力を保有し、くわしい商品等の知識を有しており、ハイセンスでトータルなコーディネートができ、訪問距離が近く、処理時間が短く、物流方法が適切であるなどの独自能力を提供すべきでありますよ。
 
繁田 さらに加えたいものとして、許される範囲で、つぎのようなローコスト体制を確立したいですね。例えば、既存のオペレーションを徹底的に合理化し、効率化し、新規にはその稼働率・採算性を充分に検討しながら、低廉な土地・建物・機器・人材を取り込み、そして材料・商品等の調達・数量・物流を強力なグローバル視点で実施したいですね。これが勝ちの戦略になるわけですね。
 
今野
 
ホーイ、ホーイ・・・と。
 
繁田
 
 
 
あなたに出会ったのは、神の思し召しかもしれません・・・。

                  (中小企業診断士/北崎 進)
 



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