VDT作業に係る安全衛生 (2000年6月)

(社) 中小企業診断協会富山県支部

パソコンやワープロなどの画面を見ながらキーボードで入出力操作を行うことを、VDT(Visual=視覚による,Display=表現する,Terminals=端末機一般)作業といいます。
オフイス責任者の酒田さんは、コンサルタントの今野さんに、VDT作業に係る安全衛生について相談しました。

酒田 私どもの会社の事務所では、社員1人に対して1台のパソコンを導入してから、「目が疲れる」、「背中が痛い」と訴える社員が出てきました。パソコン作業による安全衛生について、どのようにすればよいでしょうか。
 
今野 パソコンなどのVDT作業は、従来の事務作業と比較して、次の点で大きく違います。つまり、(1)打ち出した画面をかなり長時間見つめる(2)画面を注視するため同じ姿勢を続ける(3)画面、キーボード、書類などを見つめるために視線の移動が頻繁である(4)目と指に局部的に負担がかかる(5)画面の発光文字を見るために目が疲れやすい、などの問題点があります
 
酒田 私もパソコンを使っているので、実感としてよく分かります。
 
今野 これらの問題は、安全衛生上、疲労軽減対策として取り上げ、解決しなければなりません。作業者の疲労としては、(1)目の疲労、すなわちドライアイ(目が乾く)、眼精疲労など(2)筋骨格系の疲労、すなわち頸肩腕障害、脊腰痛、腱鞘炎などの局所疲労(3)心の疲労、すなわちストレス、などによる疲労が挙げられます。
 
酒田 どのような対策がありますか。
 
今野 まず、作業方法を変えることが必要です。一つの連続作業45分から50分までの時間帯で、10分から15分までの休み時間をとります。この休み時間に、10歩でも20歩でも歩くだけで疲れを癒すともいわれています。1つの連続作業中において、1回か2回ぐらい(1回につき2分間ぐらい)3mから5mぐらい先の遠方を眺める小休止をとることを是非励行してください。
 
酒田 ワークステーションに対する注意事項は、いかがでしょうか。
 
今野
 
 
 
ワークステーションの視距離ですが、発光文字を見る場合には概ね40pから50pぐらいが、調節性眼精疲労などを防止するために望ましいとされています。
 
酒田
 
照明や彩光については、どうでしょうか。
 
今野
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
デイスプレイで500ルックス、書類やキーボードで300メックスから1000ルックスの照度が指針に示されています。天井からの照明や窓からの彩光は、直接画面に入らないように画面の傾斜や左右の方向転換を調節して反射グレア(映り込み)を防ぎ、また間接グレアを防ぐために蛍光灯にルーバーをつけたり、窓にブラインドを取り付けたりすべきでしょう。机は65pから70p、椅子は35pから45pが適正な高さとされていますが、この範囲でデイスプレイ画面を見下ろす角度に調節してください。
なお、もっぱらVDT作業に従事する社員は、VDT指針に定められた健康診断を6カ月に一度実施してください。
 
酒田
 
 
 
よく分かりました。早速実行しましょう。

                  (中小企業診断士/指中恒夫)
 



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