■宅配を見直そう (2000年5月) |
(社) 中小企業診断協会富山県支部 |
●今野 |
町田さん、先日のTMO(まちづくり機関)の説明会は、どうでしたか。 |
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●町田 |
住民参加型の街づくりとか、ソフト重視というのはわかるんですが、実際に何をやるかとなるとね。昔みたいにどこでも同じになりませんか。 |
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●今野 |
厳しいですね。確かに総花的に何でもありが良いとは言えません。地域に合った切り口が必要でしょうね。 |
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●町田 |
最近、介護問題がやかましいですよね。中心商店街の周辺では高齢者の割合が高くなっていますが、高齢者向けという切り口で何かありますかね。 |
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●今野 |
そう言えば、町田さんの頭も大分、白いものが目立ってきてますね。身近な問題ですよね。 |
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●町田 |
まだまだですよ。でも、私と同じで元気な中高年の方も多いので介護だけがシルバーマーケットではないと思うんですが。 |
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●今野 |
その通りで、ある調査では、高齢者といっても、週に3、4回以上買い物にでかける割合が半分を占めていますし、その場合の半数以上が近くの商店街を利用しているそうです。でも、最近の商店街は活気がないし、買いたいものが揃わないなどの不満も相当に強いようです。 |
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●町田 |
住まいから近いと言うだけでは支持されないでしょうね。商店や商店街にとっては、口先だけの地域密着ではない、新しい取組みが必要になるのでは。 |
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●今野 |
何でも新しいことというのではなく、例えば、これまでもあった御用聞きや宅配サービスを見直してみるというのはどうですか。やるのは、大変ですか。 |
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●町田 |
う〜ん、宅配の復活ですか。有料、無料の問題もあるし、私もトシだし、続けられますかね。採算的にも合うのかな。 |
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●今野 |
おや〜。いっぺんに弱気になっちゃいましたね。まあ、個々の店ではキツイかもしれませんが商店街全体で配達地域を限定してやるというのはどうですか。 |
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●町田 |
みんなでやると怖くないって? |
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●今野 |
個々の店でやると配送単価は高くつくし、消費者や高齢者のニーズに全て応えらません。だから、商店街全体が一つの企業のように、地域の一人一人の顧客ニーズに全面対応できるような仕組みを作りあげることです。方法はあるはずですよ。 |
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●町田 |
例えば? |
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●今野 |
おやおや、少しは自分の頭を使ってくださいね。ますますフケ込みますよ。コンビニだって、今は何でもありの、小さな巨人ですよ。家の近くにあって長時間営業、あって助かったの品ぞろえだけでなく、公共サービス料金の支払いもできるし、これからは銀行のATM(現金自動預け払い機)も置くなんて、まさにコンビニ一店あれば、基本的な日常生活に必要な全てのモノやサービスがまかなえるわけで、他のお店が必要なくなりますよ。しっかりして下さいよ。 |
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●町田 |
恐ろしい話ですね。 |
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●今野 |
もう一つ。一部のコンビニチェーンでは、自前の店舗網を使って、宅配業者を使わずに店の商品の宅配を始めています。 |
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●町田 |
そう言えば、牛乳配達屋さんが中高年齢のお客様向けに健康商品などの配達も始めたという話も聞きましたね。 |
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●今野 |
何も高齢者に限らず、お店にいちいち出かけずに買い物を済ませ、サービスも受けたいという消費者は多いはずです。必要なモノやサービスを必要な時に、必要な場所で、必要な分だけ手に入れたいというニーズは、ますます高まります。こんな時代だからこそ、お店での客待ち商売ではなく、こちらから顧客の自宅まで攻め込める宅配サービスの必要性が出てくるんです。 |
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●町田 |
力、入ってきましたね。その先の話をついでに、もう少し。 |
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●今野 |
結局、最後まで言わせるんですね、しょうがないなあ。例えば商店街のお店をパソコンなどを使ってネットワーク化する。最初はFAXでもいいでしょう。お客様に便利なように、各家庭にFAXを配って注文をまとめて受け、商品の配達も個店別ではなく、一括して行うというイメージですよ。配達は別働隊を作ってもいいし、順番を決めて持ち回りにすれば負担も少ないでしょう。FAXのないお宅には、月々いくばくかの使用料で貸与し、いずれタダで提供することにすれば抵抗も少ないはずです。 |
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●町田 |
考えてみる余地はありますね。 |
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●今野 |
お客様を特定化し、ファンづくりの一つと言えます。これまで販促活動といえばチラシが定番でした。これからは、インターネットやホームページとまでいかなくとも、お店や商品の情報を提供し、一人一人顔の見えたお客様とのコミュニケーションを密にしていく努力は、ますます必要になってきますから。 (中小企業診断士/羽田野 正博) |