高齢化社会とまちづくり (2000年3月)

(社) 中小企業診断協会富山県支部


町田 4月から介護保険が始まりますが、商店街はこれにどう関わればよいでしょうか?
 
今野 東京の足立区高齢者市場協議会では区内の公的介護市場215億円、自費購入等を含めたすべての介護市場415億円、高齢者を対象とした財サ−ビス市場2,560億円、世代共通消費を含めた全ての高齢者市場は7,475億円と試算して、この市場をプラチナマ−ケットと呼び異業種交流会で対応しようとしています。
 
町田 足立区が富山県の約半分の人口だから本県では1.5兆円の市場があるわけですね。でも介護保険市場に参入した商店街の話は聞きませんね。
 
今野 高齢者への配食サ−ビスは足立区の東和銀座商店街等各地でやっています。京都西新道錦会商店街はファックスを住民に貸し、毎日の弁当メニュ−を送り、お客に商店街の食堂に食べに来てもらい、身障者団体製造の弁当を提供しています。
 
町田 介護以外にどんなサ−ビスが考えられますか?
 
今野 薬局、福祉介護用品店、高齢者対応住宅、保険、金融、旅行、高齢者タクシー、衣料品等があげられます。
 
町田 商店街と直接関連がある業種は案外少ないようですね。富山でも足立区のように商店街と産業が協働して高齢者市場に対応できませんかね ー。
 
今野
 
 
 
行政が動き出したようで、通産省から民間介護生活支援サービス研究の報告書がだされ、中心街ではTMOによる積極的な関連事業の推進がうたわれています。
 
町田
 
今、商店街で話題のTMOが高齢者に対応するのですか?
 
今野
 
 
 
中心市街地活性化法が施行され、中心街の活性化を目的としたTMO(タウンマネジメント組織)が高齢者対応街づくりの中心になりそうです。
 
町田
 
 
しかし隣町のTMO構想作成では、産業人や市民組織が加わったとは聞いていませんが。
 
今野
 
 
 
 
 
 
 
 
 
会議所、商工会の補助金の受け皿になるだけのTMOが、中心街を活性化できるでしょうか。TMOは米国の制度を直輸入したものです。米国ではTMOの上に、産業人専門家市民組織によるNPO(非営利組織)のCDC=コミュニティ開発法人があり、住宅、給食保険等社会福祉サ−ビス、中小企業住民への資金援助、職業訓練、ビジネス育成、商店街づくりなどの事業に取り組んでいます。高齢者への多様な対応には商業だけでなく、CDCのような産業人と市民組織も加わった協働の場が求めらています。
 
町田
 
 
TMOは儲けなければ続かないと聞いていますが、高齢者に対応し、TMOが儲けかつ継続していけますか?
 
今野
 
 
 
 
 
 
 
産業人の資金、マネジメント力、市民組織の労力、購買力とそれを活かしてきた商店主の知恵がないと、TMOが儲かり、中心街を活性化できないのではないでしょうか。交流人口を中心街に集客している川越一番街や長浜黒壁の街づくり組織は産業人と専門家が加わったCDCのような市民組織NPOであり、高齢者を活かし、高齢者が住みやすい中心街づくりを実現しつつあります。
 
町田
 
 
今度知人の産業人や市民組織の連中と会うので話してみます。
 
今野
 
 
 
一つできればすぐ国内全体にこのしくみが広がりますよ。
 
                  (中小企業診断士/園 利宗)
 



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